がん死亡率は放射線以外にもいろんな因子、たとえば喫煙、飲酒、食物などによって影響されると考えられます。これをここでは交絡因子と呼びます。この影響を出来るだけ除きたいと考え二つの方法でこれを調べました。一つは二つの集団について喫煙や飲酒、食物などの習慣を調べるというやり方です。ここではその結果は示しませんが、この二つの群で差が見られないというのが調査の結論です。
もう一つのやり方は患者・対照研究という方法です。がんの部位として鼻咽頭がん、肺がん、と白血病を選びこれらのがんの死亡者を患者群とし、対照者としてはがん以外の死因で死亡した者で患者と出生年、死亡年(5年前後)の一致した者を選びました。3つのがんのうち症例の十分に得られた鼻咽頭がんについての結果をこんどの特集に論文として纏めました。これについては97例の患者と192例の対照者が得られ、その家族に対して詳細な聞き取り調査を行いその結果を種々の統計手法を使ってがんと諸因子との関連をしらべました。
ここにはその結論だけを述べます。先ず塩漬けの魚がこのがんの一番の危険因子でああることが分かりました。次いで慢性鼻炎と鼻咽頭がんの家族歴が関連しています。自然放射線はこれらの因子について補正をしてもしなくてもこのがんとは関連がないと結論されました。また飲酒、喫煙も関連が見い出されませんでした。
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