高自然放射線地域というのが世界の幾つかの地域にありそこに何世代にもわたって人々が支障なく生活しているということは、放射線生物学の代表的な教科書であるEric
Hallの“Radiobiology for the Radiologist”1994年版にも書かれています。ただブラジルの海岸地方、インドのケララ地方などが書かれているのに、どういう訳か中国のことは書かれていません。しかし、同じ1994年の国連科学委員会の報告書「放射線発がんの疫学研究」には中国のことが紹介されていますが、残念ながらこの日中共同研究を始める前の1970年から1986年までのがん死亡率などしかありません。間もなく出版される同じ委員会報告2000年には1990年までのデータが掲載される予定です。今度のわれわれの報告はこれに間に合わず残念でしたが、これから丁度放射線防護体系の見直しが始まろうとしているようですので、この報告をもとにわれわれも大いに論を張りたいと思っています。