結 果


すべての原因(がんおよびがん以外の原因)による死亡

 2,698人の男性放射線科医の結果。1920年以降に初めて登録した者の85歳未満での死亡数は752人。これは一般人の死亡率より有意に低く(SMR=0.72)、社会階層1(科学者、医師など)の男性や全男性臨床医と比較しても有意に低い(表1)。


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 登録年度(1921-1935, 1936-1954, 1955-1979)で分類した場合には、この3通りすべての分類年度で放射線科医の死亡率は一般人よりは低いが、社会階層1の男性や男性臨床医と比較した場合には、1955-1979に登録した者についてのみ有意に低かった。

がんによる死亡
 1920年以降に登録した放射線科医のがん死亡率は一般人のそれよりはるかに低く(SMR=0.63)、また社会階層1の男性よりも有意に低かった(SMR=0.82)。しかし、男性臨床医との比較ではわずかに高い(SMR=1.04)。1954年以後に登録した放射線科医に限れば男性臨床医のがん死亡率より低い(SMR=0.71)。1920年以前の登録も含めて、登録年度による分類をした場合、社会階層1男性、男性臨床医と比較して、がんに対するSMRは年度が進むにつれて有意な低下傾向を示した(図1上図)。

図 1

 

最初の登録後の時間経過に伴うがん死亡率
 1920年以降に登録した放射線科医では時間経過に伴うがん死亡率の上昇が見られた(図1下図、表2)。男性臨床医との比較では、死亡率は登録後経過年数0-9年(SMR=0.57)と10-19年(SMR=0.71)では低く、20-29年(SMR=1.04)と30-39年(SMR=1.12)においてわずかに高い。40年以上経過(SMR=1.41)ではかなり高いことがわかった。40年以上経過後の死亡率の上昇には1921-1935年と1936-1954年に登録した放射線科医の寄与が大きい。1955-1979年の登録医ではまだ40年以上経過のデータは少ないが、これまでのところリスクの増大は見られない。

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特定のがんによる死亡率
 最初の登録後20年以上経過した時点でのがん死亡率は、1920年以降の登録医では医療従事者よりも高い(SMR=1.17)。これを部位別のがん死亡率で検討した。表3にその結果を示した。すべての1920年以降の登録医では社会階層1の男性に比較して、白血病(SMR=1.88)を除いて、どの部位でのがんも有意な増加は見られていない。前立腺、皮膚、胃がんではSMRはそれぞれ1.26、1.09、1.03であった。男性臨床医との比較では白血病(SMR=2.4)、前立腺がん(SMR=1.61)での死亡率はかなり高くなる。以前に報告されていない部位のがんでは非ホジキンスリンパ腫(SMR=2.41)が社会階層1男性に対してかなり高くなっている。多発性骨髄腫 による死亡は統計的に有意ではないものの1936-1954年に登録した医師に見られる。

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がん以外の原因による死亡
 1897-1979年に登録した85歳以下の登録医のがん以外の死亡は一般人(SMR=0.77)や社会階層1男性(SMR=0.93)男性医療従事者(SMR=0.86)よりかなり低い。

    

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