1990年勧告以来、表‐1のように9刊行物があり、これらの記載事項の中で放射線源による被ばくを制限する「拘束値」として事実上みなされる様々な勧告がなされている。Publication
60を含めて、現行のICRP勧告を明確にしている10刊行物には、「拘束値」に関するほぼ30に及ぶ様々な数値が採用されている。それらの数値は次の6項目当てはめて分類すると明確になる。
(a) 個人に対する年間の致命的リスク、
(b) 自然界起源で現存する数値範囲の上限、
(c) 自然放射線の倍数値または少数値、
(d) 公式な費用・便益分析、
(e) 定量的な(定性的でない)原因、および
(f) 確定的影響の回避
ICRPは、単一線源からの個人への線量を制限する場合は「防護的対策レベル(protective action level(PAL)」という用語を使用すべきだと、以前から述べてきた。この用語は、関心をもたれたようだが、あまり理解を得られなかった。ICRPはこの問題をずっと検討してきた結果、現在では既に確立されている「拘束値」という用語は、ICRPが推進したいと考えている概念を正確に反映している、と感じている。
ここで問うべきことは、今後、放射線防護の必要性を包括するに十分な程度に拘束値の数を減らせないか、拘束値をもっと統一性と一貫性を持った形に確立できないか、ということである。